「何回やってもイラストが覚えられない。わしはもうだめかもしれん」——認知機能検査を控えた親が、ぽつりとこぼす。あるいはご本人が、夜中に「認知機能検査 イラスト 覚えられない」と検索している。この記事は、そのどちらの方にも向けて書いています。
先に、不安を軽くする事実を3つお伝えします。①手がかり再生には、ヒントを基に答え直す段階があります(全部を白紙から思い出す検査ではありません)。②覚えられなかったとしても、その場で免許がなくなる仕組みではありません(医師の診断へ進む流れが用意されています)。③検査のイラストは、警察庁のサイトで誰でも見られる公開資料です。順に説明します。
本記事は一般的な情報整理です。警察庁や都道府県警察が実施する公式検査ではなく、検査結果の予測、認知症の診断、運転可否の判定を行うものではありません。
手がかり再生は「ヒントなし→ヒントあり」の二段構え
認知機能検査の中心である手がかり再生について、警察庁は「一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントを基に回答します」と説明しています(警察庁「認知機能検査について」・確認日:2026年7月17日)。
つまり流れはこうです。
- イラストを記憶する
- 採点に関係しない別の課題をはさむ
- まず、ヒントなしで思い出せるだけ答える
- 次に、ヒントを基にもう一度答える
「覚えられない」と不安になっている方の多くは、③のヒントなし回答だけをイメージしています。実際には④の段階があり、思い出す手がかりが与えられます。もう一つの課題である時間の見当識は、検査時の年月日・曜日・時間を答えるものです。
検査全体の流れと位置づけは認知機能検査とは?で整理しています。
イラストは「見てはいけない資料」ではない——警察庁が公開している
意外に知られていませんが、認知機能検査の検査用紙とイラストのパターン(A〜D)、採点方法は、警察庁のページからダウンロードできる公開資料です(確認日:2026年7月17日)。裏ルートの対策資料ではなく、制度として公開されています。
だから、事前に見て「こういう絵が出るのか」と雰囲気を知ること自体は、誰にでも認められた準備です。緊張しやすい方ほど、初見の驚きを減らしておく価値があります。
ただし、2つだけ知っておいてください。
- パターンは複数あり、当日どれが使われるかは選べません
- 検査の目的は、いまの記憶力・判断力の状況を確認することです。資料の丸暗記で「いつもの自分」より良い結果を作ることは、この目的から見ると本末転倒になりえます
覚えられなかったら、どうなるのか——検査後の流れ
いちばん重い不安はここだと思います。「覚えられなかったら、免許を取り上げられるのか」。
警察庁の説明では、検査の結果は「認知症のおそれがある方」または「認知症のおそれがない方」のいずれかの判定です。合格・不合格という区分ではありません。
そして「認知症のおそれがある」とされた場合も、その場で免許がなくなるのではなく、公安委員会(警察)から連絡があり、臨時適性検査または診断書提出命令により医師の診断を受ける流れになります。警察庁は、認知機能検査について「受検者の記憶力や判断力の状況を確認するための簡易な手法であり、医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではありません」とも説明しています。
認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続きを経た上で免許の取消しまたは効力の停止という流れが定められています。つまり、「イラストを覚えられない→即、免許がなくなる」ではなく、段階を踏んだ確認の入口が検査です。結果通知の読み方は結果通知書の見方で解説しています。
語呂合わせで丸暗記したほうがいい?——当サイトの考え方
検索すると、イラストの語呂合わせや暗記法を紹介する情報が多く見つかります。それらを使うかどうかは本人の自由ですが、当サイトは次の理由で「暗記の準備」より「緊張を減らす準備」をおすすめしています。
- 暗記で数値を上げても、日常の運転で感じているヒヤリとする場面は消えません。検査は、いまの状態を知る数少ない機会でもあります
- 「覚え込まなければ」という気負いは、かえって当日の緊張を強くします
- 覚えられないことへの不安が強いこと自体が、家族と運転の話を始めるきっかけとして大切な情報です(危険サインの見分け方)
検査を「突破する壁」ではなく「現在地を知る機会」と捉え直せると、本人も家族も当日を少し楽に迎えられます。
本人が「覚えられない」とこぼしたとき、家族はどう返すか
不安を口にしたとき、家族の返し方で本人の構え方が変わります。
避けたい返し方:
- 「ちゃんと覚えないと免許なくなるよ」——事実と違ううえ、脅しになります
- 「練習が足りないんじゃない?」——本人は責められたと感じ、以後不安を隠すようになります
- 「大丈夫大丈夫」——根拠のない励ましは、不安を軽く扱われたと受け取られがちです
使いやすい返し方:
- 「ヒントを見て答え直す時間もあるらしいよ」——仕組みの事実で返す
- 「覚えられなくても、すぐどうこうなる話ではないみたい。お医者さんに相談する流れがあるって」
- 「どんな雰囲気か、一回ためしに見てみる?」——次の項の体験コンテンツへ
当日に向けた準備は「暗記」ではなく3つ
- 体調 — 前日の睡眠と当日の服薬をいつも通りに。寝不足は記憶にも集中にも響きます
- 持ち物と時間の余裕 — はがき・免許証・手数料・眼鏡や補聴器。遅刻しそうな焦りは検査前の緊張を倍にします(持ち物と当日の流れ)
- 流れを一度体験しておく — 当サイトの手がかり再生の体験コンテンツで、「記憶→別の課題→回答」という流れの感覚だけ先に知っておくと、初見の戸惑いが減ります
無料体験ナビで確認できること・できないこと
当サイトの無料体験ナビと体験コンテンツは、検査の雰囲気と流れを知るための補助です。
できること:
- 手がかり再生や時間の見当識に近い流れを体験する
- 本人がどの場面で緊張しやすいかを事前に知る
- 家族が通知書・予約・持ち物・相談先の確認順を整理する
できないこと:
- 公式検査と同じ問題・同じ結果を出す
- 検査の判定を予測する
- 認知症かどうかを診断する
- 免許更新の可否や運転可否を判定する
無料・登録不要
検査の雰囲気を、先に一度だけ体験しておく
公式検査ではありません。免許更新の結果、認知症の診断、運転可否を判定するものではなく、制度と流れを理解するための体験コンテンツです。
よくある質問
Q. イラストを事前に見るのは、ずるくないですか?
検査用紙とイラストパターンは警察庁のサイトで公開されている資料で、見ること自体は誰にでも認められています。ただし当日どのパターンが使われるかは選べません。雰囲気を知って緊張を減らす目的での利用をおすすめします。
Q. 覚えられなかったら、その場で免許を返すことになりますか?
いいえ。判定は「認知症のおそれがある」「おそれがない」の2区分で、おそれがあるとされた場合も、公安委員会からの連絡を受けて医師の診断へ進む流れです。免許の取消し等には聴聞などの手続きが定められています。
Q. 何点だと「認知症のおそれがある」になりますか?
警察庁の案内ページには、判定の区分は示されていますが、具体的な点数の基準は掲載されていません。採点方法の資料が同ページで公開されているため、正確な情報はそちらと、届いた通知書で確認してください。
Q. 家族が検査に付き添えますか?
会場によって運用が異なります。送迎と、会場内で待てるかどうかを分けて、予約時に確認してください。
まとめ
手がかり再生にはヒントを基に答え直す段階があり、イラストは警察庁が公開している資料です。覚えられなかったとしても、その場で免許がなくなるのではなく、医師の診断という次の段階が用意されています。
準備するべきは暗記ではなく、体調・持ち物・流れの体験です。そして「覚えられない」という不安が続くこと自体が、運転について家族で話し合う大切なきっかけになります。不安が強い場合は、警察の安全運転相談窓口(#8080)に家族からでも相談できます。
参考情報
- 警察庁「認知機能検査について」(検査用紙・イラストパターン・採点方法の公開資料あり/確認日:2026年7月17日)
本記事は警察庁の公開情報をもとにした一般的な情報整理です。検査の運用・会場の詳細は、届いた通知書と住所地の都道府県警察の案内を優先してください。

