認知症が疑われる親が運転をやめない時の相談先

認知症が疑われる親の運転を家族が相談する流れを示すアイキャッチ画像 家族の対応・伝え方

※この記事は、認知症の診断や運転可否の判定を行うものではありません。体験談風ケースは架空ケースです。

父が同じ道で迷うようになった。車に新しい傷が増えた。家族が「少し運転を控えたら」と言っても、本人は「大丈夫」「年寄り扱いするな」と怒る。認知症が疑われる親が運転をやめない時、家族は事故への不安と、本人を傷つけたくない気持ちの間で動けなくなりがちです。

この場面で避けたいのは、家族だけで「認知症だから運転禁止」と決めつけることです。認知症かどうかの判断は医師の領域であり、免許制度上の判断は公安委員会や警察の手続きに関わります。家族の役割は、危険サインを整理し、医療・警察・福祉の相談先につなぐことです。

認知症が疑われる親が運転をやめない日の具体場面

娘さんが強く不安を感じたのは、父からの電話でした。「病院の駐車場にいるんだけど、出口が分からない」。そこは父が10年以上通っている整形外科です。電話口の父は怒っているというより、少し焦っていました。娘さんが迎えに行くと、車は出口とは反対側の区画に止まっており、車体の左後ろには新しい擦り傷がありました。

家に帰ってから、父は「今日は工事で分かりにくかった」と言いました。実際には工事は終わっていました。娘さんはその場で「認知症なんじゃないの」と言いそうになりましたが、言葉を変えました。「道に迷ったことと、車の傷が心配。体調や薬の影響もあるかもしれないから、先生に一緒に相談しよう」。

このように、家族が見ているのは「診断名」ではなく「日常で起きた変化」です。医師や相談窓口へつなぐ時も、病名を決めつけるより、出来事を時系列で伝える方が実務的です。

認知症が疑われる親が運転をやめない時の問題点

認知機能の変化がある場合、本人が危険を正確に自覚できないことがあります。たとえば、こすった記憶がない、道に迷ったことを忘れる、家族の指摘を攻撃と受け取る、といった形です。

問題は、本人が悪いわけではありません。家族が正論で押し切ろうとすると、本人の尊厳が傷つき、受診や相談から遠ざかることがあります。

公的制度ではどう扱われるか

警察庁の認知機能検査Q&Aでは、75歳以上の方が免許更新をするには、普段の運転頻度にかかわらず認知機能検査を受ける必要があるとされています。また、検査で「認知症のおそれがある」と判定されても、それは医学的診断そのものではなく、認知症かどうかは医師による診断によると説明されています。

参考: 警察庁 認知機能検査 Q&A

さらに、警察庁は「認知症のおそれがある」と判定された場合、臨時適性検査や医師の診断書提出が必要になることがあると案内しています。つまり、家族が勝手に決めるのではなく、制度上も医療と警察の手続きが関わる領域です。

解決策は第三者につなぐこと

架空ケースの娘さんは、父に「認知症かもしれない」とは言いませんでした。代わりに、「最近、同じ道で迷うことがあったから、体調や薬の影響も含めて先生に相談してみよう」と伝えました。受診前には、家族が見た運転中の変化を短くメモにまとめ、かかりつけ医へ相談しました。

国立長寿医療研究センターは、認知症と車の運転に関する本人・家族向け情報を公開しています。本人の生活や移動の問題を含めて考えるうえで参考になります。

参考: 国立長寿医療研究センター 運転と車のとりあつかい

また、厚生労働省は認知症に関する相談先として、地域包括支援センターや自治体の高齢者福祉担当課などを案内しています。地域包括支援センターは全ての市町村に設置されている高齢者の総合相談窓口です。

参考: 厚生労働省 認知症に関する相談について

家族が避けたい進め方

次の対応は、必要な場合もありますが、最初の一手としては慎重に扱うべきです。

  • 鍵を隠す
  • 本人同意なく車の処分を進める
  • 「認知症だから運転するな」と断定する
  • 家族だけで免許を取り消してもらおうと考える

事故が差し迫るなど緊急性が高い場合は安全確保が優先です。ただし、通常は本人が信頼している医師、孫、兄弟、警察の安全運転相談、地域包括支援センターなど、第三者の力を借りる方が話が進みやすくなります。

今後の取り組み方

まず、家族が見た変化をメモします。いつ、どこで、何が起きたかを短く書きます。次に、かかりつけ医へ「運転をやめさせたい」ではなく「最近の物忘れと運転の様子が心配」と相談します。同時に、#8080 の安全運転相談窓口や地域包括支援センターにも相談しておくと、家族だけで抱え込まずに済みます。

認知症が疑われる親の運転問題は、返納だけで終わりません。車がなくなった後の通院、買い物、見守り、介護相談まで一緒に考えることが必要です。

受診・相談に持っていくメモ例

かかりつけ医、地域包括支援センター、#8080へ相談する時は、次のようなメモがあると話が早くなります。

  • 道に迷った日時と場所: 6月3日、通い慣れた病院の駐車場
  • 運転中の変化: 出口を見失う、車の擦り傷に気づいていない
  • 日常生活の変化: 約束の時間を間違える、同じ話を何度もする
  • 服薬・体調: 眠気が出る薬があるか、最近体調が変わったか
  • 本人の反応: 指摘すると怒る、説明が変わる、覚えていない
  • 家族の希望: いきなり返納ではなく、まず医療相談と生活支援をつなぎたい

国立長寿医療研究センターや厚生労働省の情報は、家族が一方的に判断しないための支えになります。記事内の公式リンクを見ながら、「家族だけで決める話ではないから、一緒に相談しよう」と伝えると、本人の反発を少し和らげられることがあります。

無料チェックで家族の状況を整理する

サイト内の「家族向け3分チェック」では、運転の変化、認知面の不安、家族との会話、返納後の生活準備を整理できます。

このチェックは、認知症診断、免許更新の合否、運転可否の判定ではありません。運転や認知機能に不安がある場合は、医師、警察の安全運転相談窓口、地域包括支援センター等へ相談してください。

家族向け3分チェックへ

認知症が疑われても、家族だけで運転可否を断定しない

認知症が疑われる親の運転は、医療・安全・生活が重なる難しいテーマです。厚生労働省の認知症施策や地域包括支援の情報を確認しつつ、運転に関しては安全運転相談窓口も選択肢に入れます。

家族が『認知症だから運転禁止』と断定すると、本人は強く反発します。一方で、心配なサインを放置するのも危険です。必要なのは、診断ごっこではなく、記録、医療相談、運転相談、生活代替手段を同時に進めることです。

記録すべきサイン

サイン記録する内容相談先で伝える形
道に迷う日時、目的地、帰宅時間、本人の説明慣れた道で迷ったか、初めての場所かを分ける
車の傷場所、傷の位置、相手の有無、本人の記憶事故歴ではなく事実として伝える
標識・信号の見落とし同乗者が見た場面、道路状況感想より具体場面を残す
服薬・眠気薬の変更、眠気、ふらつき、通院日かかりつけ医へ相談する材料にする

相談の順番

  1. 家族内で危険サインを共有する。責める言葉ではなく事実でそろえる。
  2. かかりつけ医へ、もの忘れ、眠気、薬、体調変化を相談する。
  3. 運転に関する不安は#8080や都道府県警察の安全運転相談へつなぐ。
  4. 生活支援が必要なら地域包括支援センターへ相談する。
  5. 返納を検討する場合は、買い物、通院、薬、見守りを先に設計する。

本人が怒る時の言い方

認知症という言葉を最初に出すと、本人は人格を否定されたように感じやすくなります。まずは『病気かどうか』ではなく、『最近の運転で家族が心配になった場面』と『通院や買い物を続ける方法』に話題を置きます。

どうしても話が進まない場合は、家族だけで結論を出さず、医師や相談窓口へつなぐことを目的にします。

避けたい言葉言い換え
認知症なんだから運転しないで最近の道迷いが心配だから、体調や薬も含めて先生に相談したい
もう危ないこの前の駐車場の場面が家族として心配だった
返納して通院と買い物を続ける方法を先に一緒に決めたい

よくある質問

認知症が疑われたらすぐ免許返納ですか?

家族だけで断定せず、医療相談、運転相談、生活支援を並行して確認してください。危険が差し迫る場合は安全確保を優先します。

本人が受診を拒否する場合は?

運転の話から入るより、睡眠、薬、もの忘れ、通院の相談として切り出す方が受け入れやすい場合があります。

家族が相談する時に何を持っていけばよいですか?

日時、場所、具体的な運転場面、本人の説明、生活上の困りごとを記録したメモが役立ちます。

受診の話を切り出す前に、家族のメモを整える

認知症が疑われる段階でいちばん避けたいのは、根拠を伝えずに「病院へ行こう」とだけ迫ることです。本人には「運転を取り上げるための通院」に聞こえ、受診そのものを拒む理由になります。切り出す前に、家族側のメモを3種類に分けて整えておくと、医師にも本人にも話が通りやすくなります。

  • 運転の変化 — 道に迷った、車体の傷が増えた、車庫入れに時間がかかるようになった(運転記録シートの書き方
  • 生活の変化 — 同じものを何度も買ってくる、約束を忘れる、薬の飲み忘れが増えた
  • 会話の変化 — 同じ話の繰り返し、日付の言い間違い、都合の悪い話題のすり替え

メモがあると、受診の名目も「運転のため」ではなく「最近の体調の確認」に置き換えやすくなります。受診より先に相談したい場合は、地域包括支援センターに家族だけで相談することもできます。

相談先の使い分け表

状況相談先目的
物忘れ、道迷い、薬の影響が心配かかりつけ医医療面の確認
運転継続が心配#8080安全運転・返納制度の相談
返納後の生活が心配地域包括支援センター買い物、通院、見守り
今まさに危険な運転をしそう警察・110番等緊急時の安全確保

鍵を隠す、本人同意なく車を処分するなどの対応は、本人との信頼関係を壊すことがあります。緊急時を除き、まず親の車の鍵を預かる前に確認することを確認してください。

まとめ

認知症が疑われる親が運転をやめない時は、医療、#8080、地域包括支援センター、緊急時の警察対応を分けて考えます。

次に読む記事、参考情報、執筆・編集情報の順で確認できるよう、記事末尾の構成も統一しています。

次に読むページ

この記事だけで結論を急がず、いま詰まっている論点に近いページへ進んでください。

参考情報・公式情報

執筆・編集情報

項目内容
執筆・編集親の運転相談室 運営者
専門家による個別監修なし
確認方法警察庁、厚生労働省、国土交通省、自治体等の公式情報を確認
最終確認日2026年6月26日

専門家監修なしの注意書き

本記事は一般的な情報整理であり、専門家監修済みの記事ではありません。個別の運転可否、医学的診断、法的判断、免許更新・返納手続きの確定判断を行うものではありません。

地域差や個別事情がある場合は、本人の住所地を管轄する都道府県警察、医療機関、自治体、地域包括支援センターなどに確認してください。

関連記事

同じテーマを別角度から確認できる記事です。

状況を整理してから次の確認へ進む

家族で話す前に、心配な場面、生活上の困りごと、相談先を整理しておくと、本人を責める話し合いになりにくくなります。

家族向け3分チェックで家族の状況を整理する 相談メモを作る

無料チェックや体験コンテンツは、運転可否・免許更新の合否・認知症診断を判定するものではありません。相談前に状況を整理するための目安です。

タイトルとURLをコピーしました