親の運転をかかりつけ医へ相談するときの伝え方|家族が持って行くメモ

親の運転をかかりつけ医へ相談するときの伝え方|家族が持って行くメモのアイキャッチ画像 家族の対応・伝え方

診察室の前で、母が血圧手帳を開きながら言いました。

「先生には、運転のことまで言わなくていいからね」

その声が少し強くて、隣に座っていた私は返事に詰まりました。

先月、母はスーパーの駐車場で車止めに乗り上げました。本人は「ペダルを踏み間違えたわけじゃない」と言います。でも、助手席にいた孫は、帰ってから「ばあばの車、ちょっと怖かった」と小さく言いました。

家族としては、かかりつけ医に相談したい。けれど、診察室でいきなり「母の運転が危ないんです」と言えば、本人の顔をつぶしてしまう気がする。先生に「運転をやめるように言ってください」と頼むのも、何か違う。

親の運転を医師に相談するとき、家族が目指すべきなのは、医師に結論を丸投げすることではありません。

日常の変化、ヒヤリハット、薬、眠気、視力、もの忘れ、体調の波を、診察で扱える情報に変えることです。

警察庁は、75歳以上の認知機能検査について、医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではないと説明しています。また、厚生労働省は、認知症に関する主な相談先として、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、もの忘れ外来などを案内しています。

この記事では、親の運転に不安がある家族が、かかりつけ医へ何を、どの順番で、どんな言い方で相談すればよいのかを整理します。

本記事は一般的な情報整理を目的としています。医療診断、免許更新の結果、認知症の診断、運転可否を判定するものではありません。個別の健康状態、薬、診断、免許制度上の判断は、医療機関、都道府県警察、安全運転相談窓口等にご相談ください。

まず結論:医師には「運転を止めて」ではなく「健康面の事実」を伝える

かかりつけ医へ相談するとき、家族が最初に避けたいのは、結論から言うことです。

避けたい言い方:

母の運転が危ないので、先生からやめるように言ってください。
父はもう運転させない方がいいですよね。
診断書を書いてもらえば、免許の話を進められますか。

家族の切迫感は分かります。ただ、この言い方だと、本人は「家族が先生を味方につけて、自分を追い込もうとしている」と受け止めやすくなります。

かかりつけ医に伝えるべきなのは、家族の結論ではなく、診察で扱える事実です。

使いやすい言い方:

最近、運転中のヒヤリハットと、日常生活で気になる変化があります。
薬、眠気、視力、もの忘れ、体調の波が関係していないか相談したいです。
必要であれば、専門外来や安全運転相談窓口につなげる順番も教えてください。

医師に相談する目的は、親を責めることではありません。

運転中に見えた変化が、病気、薬、視力、睡眠、認知機能、足腰の状態などと関係していないか確認すること。必要なら、専門医療や地域の相談先につなげることです。

関連記事: 親の運転について警察へ相談する方法

診察前に作る「運転相談メモ」

診察室では時間が限られます。

本人の前で家族が長く話すと、親が不機嫌になることもあります。逆に、遠慮しすぎると、医師には「いつも通り」に見えてしまうこともあります。

そこで、短いメモを作ります。

項目 書く内容
相談者 長女、長男、配偶者、同居家族、別居家族
本人の運転目的 通院、買い物、畑、仕事、友人宅、送迎
気になる出来事 駐車場でこする、一時停止が遅れる、道に迷う
日時と条件 夕方、雨の日、病院帰り、薬を変えた後、疲れていた日
本人の反応 覚えている、覚えていない、怒る、笑って流す
日常生活の変化 予定忘れ、服薬ミス、同じ話、怒りっぽさ、眠気
家族が聞きたいこと 薬、視力、認知機能、専門外来、相談先

メモは、医師に渡せるように1枚で十分です。

運転と生活の相談メモ

本人: 80歳、週3回ほど運転。主に通院と買い物。
家族: 長女。月2回ほど同乗。

気になる運転:
- 5月下旬、スーパー駐車場で車止めに乗り上げた
- 6月上旬、夕方の交差点で一時停止の位置を少し過ぎた
- 夜は対向車のライトがまぶしいと言っている

日常生活:
- 薬の飲み忘れが月に数回ある
- 同じ予定を何度も確認することが増えた
- 新しい薬を飲み始めてから昼間に眠そうな日がある

相談したいこと:
- 薬や眠気が運転中の不安に関係するか
- 視力や認知機能の確認が必要か
- もの忘れ外来や認知症疾患医療センターの紹介が必要か
- 安全運転相談窓口にも相談した方がよいか

ポイントは、医師が確認しやすい形にすることです。「危ない」「怖い」だけでなく、いつ、どこで、何があったかを書きます。

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本人の前でどう切り出すか

本人の前で運転の話を出すと、空気が張りつめることがあります。

本人は、医師の前ではきちんと受け答えできる。家族は、家で見ている変化を知っている。そこで家族が強く言いすぎると、診察室が親子げんかの場所になってしまいます。

切り出し方は、こうします。

先生、運転のことだけで決めたいわけではないのですが、
最近、薬を飲んだ後の眠気や、夜の見えにくさが気になっています。
家族で気づいたことを短くメモにしてきました。
健康面で確認した方がよいことがあれば教えてください。

本人に向けては、こう添えます。

お母さんを責めたいわけじゃないよ。
運転を全部やめる話をここで決めたいわけでもない。
薬や目のことも含めて、先生に一回確認したいだけ。

「運転」という言葉だけを強く出すと、本人は守りに入ります。薬、眠気、視力、疲れ、もの忘れなど、健康面の確認として始める方が、診察で話しやすくなります。

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医師に聞くべき質問

診察では、質問を絞ります。

一度の診察で、運転、認知症、薬、免許、返納、家族関係を全部解決しようとすると、話が散らばります。

まずは次の質問から始めます。

質問 目的
最近の薬で眠気やふらつきが出る可能性はありますか 服薬と運転中の不安を切り分ける
視力や眼科受診を確認した方がよいですか 夜間や雨天の見えにくさを確認する
もの忘れや判断力について、追加で確認した方がよいですか 認知機能の相談につなげる
専門外来や認知症疾患医療センターの紹介が必要ですか かかりつけ医だけで抱えない
家族は、次にどの相談先へつなげればよいですか 医療、介護、警察相談の順番を整理する

厚生労働省は、認知症に関する相談先として、かかりつけ医、認知症疾患医療センター、もの忘れ外来、地域包括支援センターなどを案内しています。また、地域の中で認知症の人を支えていくには、身近なかかりつけ医が必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要だと説明しています。

つまり、かかりつけ医に相談することは、すべてをその場で決めるためではありません。

必要な検査、専門医療、地域支援、安全運転相談へつながる入口として使います。

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警察や免許制度の話を医師にどう伝えるか

運転免許の制度が関係する場合、家族は焦ります。

75歳以上の更新が近い。認知機能検査の通知が来ている。警察から医師の診断書の話が出た。こうした場面では、医師への相談も慎重に進めたいところです。

警察庁は、75歳以上のドライバーが受ける認知機能検査について、検査の結果が「認知症のおそれがある」とされた場合には、公安委員会から連絡があり、臨時適性検査または診断書提出命令により医師の診断を受けることになると説明しています。また、認知機能検査は医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではないとも明記しています。

医師へは、制度のことも事実として伝えます。

75歳以上の免許更新が近く、認知機能検査の通知が来ています。
家族としては、検査の前後で健康面の確認もしておきたいです。
警察や公安委員会から診断書の提出を求められた場合、どのような流れになるのかも確認したいです。

ここでも、「先生から免許の結論を出してください」という言い方にはしません。

医療で確認すること、警察や公安委員会が扱う制度上のこと、安全運転相談窓口で相談することを分けます。

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家族だけで医師に伝えたいとき

本人の前では言えないこともあります。

車の傷を本人が覚えていない。薬の飲み忘れを怒って否定する。診察室では元気に見えるけれど、家では同じ話を何度もする。そういうとき、家族は「先生にだけ先に伝えたい」と思います。

ただし、医療機関には本人のプライバシーや診療上のルールがあります。家族が勝手に細かな健康情報を扱う形になることもあるため、まずは医療機関の受付や相談窓口に、どう伝えればよいか確認します。

現実的な方法:

  • 事前に電話し、家族メモを渡してよいか確認する
  • 診察前に受付で短いメモを預けられるか聞く
  • 本人の前では「健康面の相談」として話し始める
  • 本人が強く拒む場合は、地域包括支援センターにも相談する
  • 緊急性が高い運転不安は、安全運転相談窓口にも相談する

メモには、感情的な表現を書きすぎない方がよいです。

避けたい書き方:

本人は危険を分かっていません。家族の言うことを全く聞きません。
何とか運転をやめさせてください。

使いやすい書き方:

本人の前では話しづらいのですが、家族として次の変化を心配しています。
診察で確認できる範囲で、薬、眠気、視力、認知機能についてご相談したいです。

医師に敵味方を決めてもらうのではなく、医療として確認すべき事実を共有する。ここを外さないことが大切です。

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かかりつけ医だけで終わらせない方がよい場面

かかりつけ医は入口として重要です。

ただ、運転と認知機能、薬、視力、生活支援が絡むと、かかりつけ医だけで完結しないことがあります。

次のような場合は、追加の相談先を確認します。

場面 相談先の例
もの忘れや判断力の低下が気になる もの忘れ外来、認知症疾患医療センター
服薬管理や生活全体が不安 地域包括支援センター
家族だけでは本人と話せない 地域包括支援センター、安全運転相談窓口
免許更新や認知機能検査の制度が絡む 都道府県警察、運転免許センター
運転中の不安が具体的に増えている 安全運転相談窓口、#8080

厚生労働省は、地域包括支援センターについて、保健医療・介護に関する相談を行い、相談内容に応じて認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームなどの関係機関とも連携しながら支援すると説明しています。

また、認知症疾患医療センターについては、速やかな鑑別診断、専門医療相談、関係機関との連携などの役割が示されています。

家族だけで抱え込まず、かかりつけ医から次の相談先へつなぐ発想を持ちます。

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診察後に家族で決めること

診察が終わったら、家族で次の行動を決めます。

医師に相談しただけで、親の運転問題が一気に解決するわけではありません。大切なのは、相談内容を生活の約束に落とすことです。

診察後のメモ:

項目 書く内容
受診日 2026年6月22日など
医師に伝えたこと ヒヤリハット、薬、眠気、もの忘れ、視力
医師から言われたこと 検査、薬の確認、眼科、専門外来、再診
次に相談する先 もの忘れ外来、地域包括、安全運転相談窓口
家族で決めること 夜間運転、雨の日、遠出、同乗、送迎

家族会議では、いきなり返納の結論にしない方が話しやすいことがあります。

先生にも薬と眠気の確認をしてもらったから、
次の診察までは夜の運転だけ家族が代わろう。
買い物は昼間にずらして、雨の日は行かない形にしよう。

まずは、夜間、雨天、高速道路、遠方、体調不良の日など、条件を分けて運転範囲を見直します。本人の生活がいきなり小さくならないよう、代替手段も同時に用意します。

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医師への相談と安全運転相談窓口の使い分け

かかりつけ医と安全運転相談窓口は、役割が違います。

相談したいこと 主な相談先
薬、眠気、視力、もの忘れ、病気の確認 かかりつけ医、専門医療機関
認知症かどうかの医療的な確認 医療機関、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター
高齢ドライバーや家族として運転不安を相談したい 安全運転相談窓口、#8080
免許更新、認知機能検査、診断書提出命令など制度の確認 都道府県警察、運転免許センター
返納後の生活、介護、見守り、地域支援 地域包括支援センター、自治体

警察庁の安全運転相談窓口は、高齢ドライバー本人や家族が、加齢に伴う身体機能の低下等による運転不安を相談できる窓口です。安全運転相談の概要では、症状に応じて医師の診断を受けるよう指導する例や、家族からの相談に対応する例も示されています。

医療機関では健康面を確認する。安全運転相談窓口では運転不安や制度の入口を相談する。地域包括支援センターでは生活支援や介護の相談をする。

この3つを分けると、家族が次に動きやすくなります。

関連記事: 親の運転について警察へ相談する方法

無料体験ナビで確認できること・できないこと

当サイトの無料体験ナビは、かかりつけ医や安全運転相談窓口へ相談する前に、家族の不安を整理するための補助です。

確認できること:

  • 運転中のヒヤリハットを整理する
  • 夜間、雨天、高速道路など条件別の不安を見る
  • 医師に伝えるメモの材料を作る
  • 家族会議で話す順番を整理する
  • 安全運転相談窓口へ相談する優先度を考える

確認できないこと:

  • 医学的診断
  • 認知症かどうかの判定
  • 免許更新の結果
  • 個別の運転可否
  • 薬の調整や治療方針
  • 都道府県公安委員会の判断

不安が強い場合は、無料体験ナビだけで完結させず、かかりつけ医、安全運転相談窓口、地域包括支援センター等に相談してください。

かかりつけ医へ相談する前に、家族メモを整理する

公式検査ではありません。免許更新の結果、認知症の診断、運転可否を判定するものではなく、家族で相談する優先度を整理するための体験コンテンツです。

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執筆・編集情報

  • 執筆・編集:親の運転相談室 運営者
  • 専門資格者による個別監修:なし
  • 主な確認先:警察庁、都道府県警察、厚生労働省、国土交通省、自治体等(記事内容に応じて本文内に掲載)
  • 初回公開日:2026年06月22日
  • 最終確認日:2026年6月22日

本記事は一般的な情報整理を目的としており、個別の運転可否、医学的診断、法的判断を行うものではありません。

よくある質問

Q. 親の運転について、かかりつけ医に相談してもよいですか?

薬、眠気、視力、もの忘れ、体調の変化など、健康面の不安がある場合は相談先の一つになります。厚生労働省も、認知症に関する主な相談先として、かかりつけ医や認知症疾患医療センターなどを案内しています。ただし、医師に結論を丸投げするのではなく、家族が見た具体的な変化をメモで伝えます。

Q. 医師に「運転をやめるよう言ってほしい」と頼んでもよいですか?

その言い方だけだと、本人が強く反発することがあります。まずは、薬、眠気、視力、もの忘れ、判断力、足腰の状態など、医療として確認できる事実を相談します。必要に応じて、専門外来、安全運転相談窓口、都道府県警察などへつなげる順番を確認します。

Q. 本人の前で言いにくい内容はどうすればよいですか?

事前に医療機関へ電話し、家族メモを渡してよいか確認します。受付で短いメモを預けられる場合もありますが、医療機関ごとに対応は異なります。感情的な表現ではなく、日時、場所、起きたこと、健康面の不安を簡潔にまとめます。

Q. 認知機能検査の結果と医師の診断は同じですか?

同じではありません。警察庁は、認知機能検査は医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではないと説明しています。認知機能検査や免許制度の流れと、医療機関での診断・検査は分けて考える必要があります。

Q. かかりつけ医だけで判断できない場合はどうなりますか?

必要に応じて、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター、専門医、地域包括支援センター、安全運転相談窓口などにつなげることを相談します。厚生労働省は、かかりつけ医が必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要と説明しています。

Q. 家族は診察後、何をすればよいですか?

医師から言われたことをメモし、家族会議で次の行動を決めます。夜間や雨天だけ運転範囲を見直す、眼科や専門外来を予約する、安全運転相談窓口へ相談する、返納後の移動手段を調べるなど、具体的な次の一歩に落とします。

まとめ

親の運転をかかりつけ医へ相談するとき、家族がやるべきことは、医師に結論を迫ることではありません。

運転中のヒヤリハットを、健康面の事実として整理することです。

いつ、どこで、何があったのか。薬や眠気、視力、もの忘れ、体調の波と関係していないか。専門外来や地域包括支援センター、安全運転相談窓口へつなぐ必要があるか。

この順番で相談すると、親を責める話になりにくくなります。

家族だけで抱え込まず、かかりつけ医、安全運転相談窓口、地域包括支援センターを分けて使う。そこから、本人の生活を守りながら、運転範囲や返納後の準備を一つずつ考えていきます。

参考情報

執筆・編集情報

この記事は、警察庁の認知機能検査、安全運転相談窓口、安全運転相談の概要、厚生労働省の認知症相談先・主な認知症施策の公開情報を確認し、家族向けに整理したものです。医療機関での相談、診断、薬の扱い、免許制度上の判断は個別事情により異なります。最終確認日は2026年6月22日です。

本記事は一般的な情報整理を目的としており、個別の運転可否、医学的診断、法的判断を行うものではありません。





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