車を持ち続ける費用は、走らなくても毎年かかる「固定費」が中心です。「もうあまり乗っていないのに、車検も保険も払っている」——返納を考え始めた家庭が、感情論ではなく数字で話し合うために、まず「いまの車の年間費用」を見える化しましょう。この記事では、費用の洗い出しの手順、手放した場合に増える費用との比べ方、家族会議での使い方を解説します。
車の費用は「乗らなくてもかかる」が大半
車の費用は2種類に分かれます。
- 固定費(乗らなくてもかかる) — 自動車税/車検・点検費/自賠責保険/任意保険/駐車場代(借りている場合)
- 変動費(乗った分だけかかる) — ガソリン代/高速代/消耗品(タイヤ・オイルなど)
高齢の親の場合「近所の買い物と通院だけ」という使い方が多く、変動費は小さいのに固定費はフルにかかっている状態になりがちです。だからこそ、実額の見える化に意味があります。
わが家の「年間費用」を15分で出す手順
正確な平均値より、わが家の実額が説得力を持ちます。次の書類を集めて足し算するだけです。
- 自動車税の納付書(毎年5月ごろ)
- 直近の車検の請求書(2年分なので半額にして1年分に)
- 任意保険の証券・お知らせ(年額)
- 駐車場の契約書(月額×12)
- ガソリンは「月の給油回数×1回あたりの金額×12」でおおまかに
合計が出たら「1か月あたり」に割り直してください。月単位にすると、次のステップ(代わりの移動手段との比較)がしやすくなります。
手放した場合に「増える費用」と比べる
車をやめると、代わりの移動にお金がかかります。よくある項目は次のとおりです。
- タクシー — よく行く場所(スーパー・病院)までの往復額×月の回数
- バス・電車 — 定期や回数の実額(自治体の高齢者向け割引や、返納者向けの優待が使える地域もあります。運転経歴証明書の特典を参照)
- 宅配・ネットスーパー — 配送料
- 家族の送迎 — 金額はゼロでも「家族の時間」というコストがある点は正直に話し合いを
比較のコツは、「車の月額」と「代替手段の月額」を同じ表に並べることです。多くの家庭では、想像より車の固定費が大きいことに本人が驚きます。ただし、ここで「ほら、損してる」と詰めるのは逆効果です(言ってはいけない言葉)。「浮いたお金でタクシーに月◯回乗れるね」という置き換えの言い方が前向きです。
お金だけで決めないための注意
- 費用の比較は判断材料のひとつです。安全の心配が大きい場合は、費用に関係なく相談を優先してください(#8080の使い方)
- 田舎など車が生活の前提になっている地域では、単純比較が成り立たないことがあります(田舎で返納する前に考えること)
- 車を手放す場合の売却・名義・保険の手順は親の車を売る・処分する前に確認することにまとめています
よくある質問
Q. 車の維持費は平均でいくらですか?
車種・地域・保険条件で大きく変わるため、この記事では一律の平均額を示していません。納付書や請求書から「わが家の実額」を出す方が、家族の話し合いではずっと役に立ちます。
Q. 親が「車は資産だから」と言います。どう考えればいいですか?
売却額がつくうちに手放すと、まとまったお金になる場合があります。年式や状態によっては早い方が有利なこともあるため、「資産だからこそ、価値があるうちに考える」という見方もできます(売却の手順はこちら)。
Q. 計算してみたら車の方が安そうです。返納しない方がいいですか?
費用はあくまで材料のひとつです。運転の安全に不安がある場合は、金額に関係なく、まず家族向け3分チェックや#8080で状況を整理することをおすすめします。
参考:自動車税・車検・保険の金額はお手元の納付書・請求書・保険証券をご確認ください。返納後の支援は警察庁 運転免許証の自主返納もあわせてどうぞ。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の家計・契約に関する助言ではありません。
車の維持費は「説得の武器」ではなく生活設計の材料
親の車の維持費を出す目的は、『ほら、損している』と説得するためではありません。返納後のタクシー、配達、家族送迎、地域交通にいくら回せるかを具体化するためです。
車を手放す場合は、名義や登録手続きも関係します。制度上の登録情報は国土交通省 自動車検査登録総合ポータルを確認してください。返納そのものは警察庁の自主返納情報が制度の入口です。
年間費用の見える化
| 費目 | 確認する書類 | 家族の注意点 |
|---|---|---|
| 自動車税・軽自動車税 | 納税通知書 | 車種や地域で異なる |
| 車検・点検 | 整備記録、領収書 | 2年分で平均する |
| 任意保険 | 保険証券、更新案内 | 補償内容を落としすぎない |
| 駐車場 | 契約書、通帳 | 使っていなくても毎月かかる |
| 燃料・高速・消耗品 | カード明細、領収書 | 近距離中心なら固定費の比率が高い |
返納後に増える費用も同じ表にする
車を手放すと、タクシー、配達、家族送迎、地域交通の費用が増えます。国土交通省の地域公共交通確保維持改善事業のように地域交通を支える制度はありますが、実際に使える手段は自治体ごとに異なります。
比較では、車の年間費用から返納後の移動費を引くだけでは足りません。本人の外出回数、通院の安定、家族の時間、買い物のしやすさも同じ表に入れます。
| 返納後の手段 | 費用 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| タクシー | 片道料金×回数 | 待ち時間、雨の日、通院帰り |
| 配達・ネットスーパー | 配送料、最低注文額 | 支払い方法、冷蔵品 |
| 家族送迎 | 燃料代、時間 | 仕事や距離の負担 |
| 地域交通 | 運賃、予約条件 | 運行日、乗降場所 |
収益サービスを使う前の注意
査定や保険見積もりは、比較表を具体化する材料になります。ただし、親本人が売却や保険変更に納得していない段階で申し込むと、家族関係がこじれることがあります。まず本人同意、名義、車の使い道、返納後の生活手段を確認してください。
契約や事業者対応で不安がある場合は、消費者庁 消費者ホットラインも確認先になります。
よくある質問(手放すかどうかの考え方)
車を手放すと必ず節約になりますか?
車の固定費は減りますが、タクシーや配達費、家族送迎の負担が増えます。同じ表で比べてください。
査定額を調べるだけでもよいですか?
比較材料にはなりますが、本人同意と名義確認の前に売却前提で進めないよう注意してください。
費用だけで返納を決めてもよいですか?
費用は材料の一つです。安全、生活、本人の納得、相談先を合わせて判断してください。
計算結果を本人にどう見せるか
維持費の比較表は、作ったあとの見せ方で結果が変わります。数字で「こんなに損している」と迫ると、本人は車ではなく自分が否定されたと受け取ります。
- 月額ではなく年額で並べる — 金額の差が生活の実感に近づきます
- 「浮くお金」ではなく「使えるお金」として見せる — タクシーでの通院何回分、孫との外食何回分のように、手放したあとの暮らしに換算します
- 比較表は本人と一緒に埋める — 完成した表を突きつけるより、保険料や車検代を本人に思い出してもらいながら埋めるほうが、数字への納得が生まれます
費用は判断材料の一つで、決め手のすべてではありません。数字が出たら、メリット・デメリットの整理とまだ走れる車の手放し方もあわせて確認してください。
車を手放す・残す判断の3分岐
| 状況 | 見る先 | 注意点 |
|---|---|---|
| まだ走れる車を売りたい | ユーカーパックなどの査定 | 本人同意、名義、売却意思を確認してから進める |
| 車検切れ・故障車・不動車 | 車を処分する専用記事 | 通常の買取ではなく廃車・処分の確認が必要 |
| 家族が引き継ぐ・保険を見直す | 保険見積もりや名義確認 | 補償内容、使用者、保管場所を確認する |
車検切れ・故障車・不動車の処分は、このページで直接広告へ送らず、返納後の車をどうするかや親の車を売る・処分する前に確認することで整理する方が自然です。
まとめ
親の車の維持費は、売却、保険見直し、車検切れ・不動車の処分を分けて、本人同意と生活手段を確認してから比較します。
次に読む記事、参考情報、執筆・編集情報の順で確認できるよう、記事末尾の構成も統一しています。
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参考情報・公式情報
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータル(確認日: 2026年6月26日)
- 国土交通省 地域公共交通確保維持改善事業(確認日: 2026年6月26日)
- 警察庁 運転免許証の自主返納について(確認日: 2026年6月26日)
- 消費者庁 消費者ホットライン(確認日: 2026年6月26日)
- 本記事は一般的な情報整理です。個別の運転可否、医学的診断、免許更新・返納手続きの確定判断、費用見積もりを行うものではありません。必要に応じて都道府県警察、医療機関、自治体、専門窓口に確認してください。
執筆・編集情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 執筆・編集 | 親の運転相談室 運営者 |
| 専門家による個別監修 | なし |
| 確認方法 | 警察庁、厚生労働省、国土交通省、自治体等の公式情報を確認 |
| 最終確認日 | 2026年6月26日 |
専門家監修なしの注意書き
本記事は一般的な情報整理であり、専門家監修済みの記事ではありません。個別の運転可否、医学的診断、法的判断、免許更新・返納手続きの確定判断を行うものではありません。
地域差や個別事情がある場合は、本人の住所地を管轄する都道府県警察、医療機関、自治体、地域包括支援センターなどに確認してください。
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家族で話す前に、心配な場面、生活上の困りごと、相談先を整理しておくと、本人を責める話し合いになりにくくなります。
無料チェックや体験コンテンツは、運転可否・免許更新の合否・認知症診断を判定するものではありません。相談前に状況を整理するための目安です。

