車の年間維持費と返納後の移動費|親の車を残すか家族で比較する計算表

車の年間維持費と返納後の移動費|親の車を残すか家族で比較する計算表のアイキャッチ画像 返納後の生活

実家の食卓で、父が少し怒ったように言いました。

「タクシーなんか使っていたら、すぐ高くつく」

その言葉に、私はすぐ反論できませんでした。たしかに、病院まで片道2,000円かかるなら、往復で4,000円。月に何度も通えば、それなりの金額になります。

でも、テーブルの上に置いた車検の見積書、任意保険の更新案内、ガソリンのレシート、タイヤ交換の領収書を並べてみると、話は少し変わりました。

車は、乗った日だけお金がかかるわけではありません。乗らない月にも、保険、税金、車検、点検、駐車場、バッテリー、タイヤ、修理がかかります。

一方で、免許返納後の移動費も、単に「タクシー代」だけではありません。通院、買い物、薬の受け取り、役所、散髪、墓参り、友人との集まり。何をどの頻度で、誰が、いくらで支えるのかを見ないと、生活が回るかどうかは分かりません。

この記事では、親の車の年間維持費と、免許返納後の移動費を、同じ年額で比較する方法を整理します。

本記事は一般的な情報整理を目的としています。特定の保険、車買取、タクシー、宅配サービスへの誘導ではありません。個別の運転可否、医療診断、免許制度上の判断を行うものでもありません。運転に不安がある場合は、医療機関、都道府県警察、安全運転相談窓口等にご相談ください。

まず結論:車と返納後の費用は「月額」ではなく「年額」で比べる

親の車を残すか返納後の移動費へ回すかを考えるとき、月額だけで見ると判断がずれます。

たとえば、ある月だけ見れば、タクシー代が高く見えることがあります。通院が重なった月、雨の日に買い物へ行った月、家族が送迎できなかった月は、返納後の移動費が大きく見えます。

一方で、車の費用は年に数回まとまって出ます。

  • 自動車税や軽自動車税
  • 自賠責保険
  • 任意保険
  • 車検
  • 点検整備
  • タイヤやバッテリー
  • 燃料代
  • 駐車場代
  • 修理費

このため、比較は年額で行います。

車を残す年間費用
= 税金 + 保険 + 車検の年割 + 燃料 + 駐車場 + 整備修理 + 消耗品

返納後の年間移動費
= 通院 + 買い物 + 薬の受け取り + 外出 + 家族送迎の実費 + 宅配等の追加費用

この2つを、同じ12か月で比べます。

関連記事: 親の運転を続けるか返納するかの判断ガイド

車の年間維持費に入れるもの

車の維持費は、見落としやすいものから先に書き出します。

項目 書き出す内容 確認先
税金 自動車税種別割、軽自動車税種別割など 納税通知書、自治体、都道府県税事務所
自賠責保険 車検時などに必要な強制保険 国土交通省の自賠責保険・共済情報
任意保険 対人・対物・車両保険など 保険会社の更新案内
車検 法定費用、整備費、部品交換 車検見積書、整備工場
燃料 ガソリン・軽油、走行距離、燃費 レシート、資源エネルギー庁の価格調査
駐車場 月極、実家敷地でも維持費として意識 契約書、地域相場
消耗品 タイヤ、バッテリー、オイル、ワイパー 領収書、整備記録
修理 こすり傷、接触、故障 修理見積書

国土交通省の自賠責保険・共済ポータルでは、自賠責制度について、事故被害者の人身被害に対する損害を保険金等としててん補する制度であり、保険料はノーロス・ノープロフィットの原則に従い毎年検証されると説明されています。

また、ガソリンや軽油は地域や時期で大きく変わります。資源エネルギー庁は、給油所小売価格調査としてガソリン、軽油、灯油の調査結果を公表しており、原則として毎週月曜日調査、水曜日公表と案内しています。

つまり、車の維持費は「だいたい」で決めず、直近の通知書、領収書、見積書、地域価格で埋める方が現実に近くなります。

関連記事: サポートカーへの乗り換えと自主返納の比較

年間維持費の計算表

家族会議では、まずこの表を作ります。

項目 年額の出し方 金額
税金 納税通知書の金額
任意保険 年払い、または月額×12
自賠責保険 車検時の金額を年割
車検・整備 2年ごとなら半額を年額にする
燃料 年間走行距離 ÷ 燃費 × ガソリン単価
駐車場 月額×12
消耗品 タイヤ、バッテリー、オイル等の年割
修理予備費 直近数年の平均、または仮置き
合計 上記の合計

燃料費は、次の式で計算できます。

年間燃料費 = 年間走行距離 ÷ 実燃費 × 1リットルあたり単価

たとえば、年間3,000km走り、実燃費が15km/L、ガソリン単価を180円/Lと仮置きすると、燃料費は次のようになります。

3,000km ÷ 15km/L × 180円 = 36,000円

この数字は全国平均ではありません。家族が自分たちのレシートや地域価格を入れて置き換えるための例です。

ここで大事なのは、親に「こんなにかかっている」と責めることではありません。

車を残す場合にも、家計の中でどれくらい固定費を使っているのかを、家族全員が同じ表で見ることです。

関連記事: ヒヤリハットを記録する方法

返納後の移動費に入れるもの

免許返納後の費用は、タクシー代だけではありません。

むしろ、行き先ごとに分けると現実的です。

行き先 月の回数 代替手段 1回の費用 年額
通院 タクシー、家族送迎、自治体移動支援
薬の受け取り 家族、薬局配送、通院時にまとめる
買い物 家族送迎、宅配、移動販売、バス
役所・銀行 バス、タクシー、家族同行
散髪・外食 タクシー、送迎、徒歩圏
墓参り・親戚訪問 家族運転、タクシー、公共交通
急な外出 予備費

返納後の移動費は、月1回の大きな通院より、週1回の買い物や薬の受け取りの方が効いてくることがあります。

また、家族送迎を「無料」として扱うと、あとで負担が見えなくなります。

家族送迎も、次のように書いておきます。

家族送迎
- 誰が担当するか
- 月何回まで可能か
- ガソリン代や高速代をどうするか
- 仕事や子育てと重なったときの代替手段

お金だけでなく、家族の時間も見える化します。

関連記事: 返納後の生活

返納後の支援制度も確認する

警察庁は、自主返納した方を対象に、地域の実情に応じて自治体や事業者等による様々な支援が行われていると案内しています。詳しくは、全日本指定自動車教習所協会連合会が運営する高齢運転者支援サイトを確認するよう案内されています。

また、警察庁の高齢運転者対策の概要では、自主返納後の支援施策の例として、バスやタクシーの割引、鉄道料金の割引、交通系ICカードの交付、食材配達利用料金の割引、自動車の廃車手続無料などが挙げられています。

支援制度は地域差があります。

確認する場所:

  • 住んでいる自治体の高齢者支援ページ
  • 都道府県警察や運転免許センター
  • 高齢運転者支援サイト
  • 地域包括支援センター
  • バス会社、タクシー会社、鉄道会社

検索するときは、次のように調べます。

市区町村名 免許返納 支援
市区町村名 高齢者 タクシー券
市区町村名 外出支援 高齢者
市区町村名 買い物支援 高齢者

「返納後は全部自費」と思い込む前に、地域の支援制度を確認します。

関連記事: 安全運転相談ダイヤル

仮の比較例

ここでは、数字の入れ方だけを見るために、仮の例を置きます。

これは全国平均ではありません。実際には、車種、保険、走行距離、地域、通院距離、家族支援で大きく変わります。

車を残す場合

項目 年額の仮置き
税金 40,000円
任意保険 70,000円
自賠責保険の年割 9,000円
車検・整備の年割 60,000円
燃料 36,000円
消耗品・修理予備費 50,000円
駐車場 0円
合計 265,000円

返納後の移動費

用途 年額の仮置き
通院タクシー 96,000円
買い物支援・宅配追加費 72,000円
家族送迎の実費 36,000円
役所・散髪・外出 48,000円
予備費 36,000円
合計 288,000円

この例だけを見ると、返納後の移動費の方が少し高く見えます。

しかし、ここで終わらせません。

次に見るべきこと:

  • 車の修理が増えていないか
  • 駐車場代がある地域ではどう変わるか
  • 車検で大きな部品交換が必要ではないか
  • 家族送迎をどこまで続けられるか
  • タクシー券や自治体支援で下がる費用があるか
  • 運転不安がある状態で車を残すリスクをどう考えるか

お金だけなら車を残す方が安く見える場合もあります。逆に、駐車場代や保険料が高い地域では、返納後の移動費の方が下がる場合もあります。

だからこそ、親の家の実費で計算します。

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金額だけで決めない

車の維持費と返納後の移動費を比べると、家族はつい「どちらが安いか」に引っ張られます。

でも、親の運転問題は、家計だけの問題ではありません。

次の項目も同じ表に入れます。

お金以外の項目 確認すること
安全不安 ヒヤリハット、車の傷、一時停止、夜間、雨天
健康面 視力、眠気、薬、足腰、もの忘れ
生活の自由 通院、買い物、友人、地域活動
家族負担 送迎回数、仕事との両立、きょうだい間の分担
代替手段 タクシー、バス、宅配、移動販売、地域支援
緊急時 急な通院、体調不良、夜間の移動

もし、運転に不安が強く、かかりつけ医や安全運転相談窓口への相談が必要な状態なら、単に「車の方が安いから残す」とは言い切れません。

費用比較は、親を説得する材料ではなく、返納後の生活不安を減らす材料です。

関連記事: かかりつけ医へ相談するときの伝え方

家族会議での見せ方

費用表を作ったあと、本人に見せるときは言い方が大切です。

避けたい言い方:

車はこんなに無駄だから返納して。
タクシー代の方が安いから、もう車はいらないよ。

この言い方だと、本人は「自分の生活を削られる」と感じやすくなります。

使いやすい言い方:

車を残す場合と、返納後に通院や買い物を組み直す場合を、同じ年額で比べてみたい。
お父さんの外出を減らしたいわけではなく、どうすれば安心して生活できるかを見たい。

表を見せる順番:

  1. まず、今の車にかかっている年額を確認する
  2. 次に、返納後も必要な外出を全部書く
  3. タクシー、家族送迎、バス、宅配、自治体支援を組み合わせる
  4. 1か月だけ「車なし生活」を試す案も出す
  5. 最後に、医療機関や安全運転相談窓口への相談を決める

一度で結論を出さず、表を埋めることを家族会議の目的にします。

関連記事: 家族会議ガイド

1か月だけ車なし生活を試す

いきなり返納を決めるのが難しい場合は、1か月だけ車を使わない生活を試します。

これは、免許制度上の手続きではありません。家族内の生活実験です。

試すこと:

  • 通院はタクシーまたは家族送迎にする
  • 買い物は宅配、家族同行、バス、移動販売にする
  • 薬の受け取りは通院日にまとめる
  • 役所や銀行は家族が同行する
  • 急な外出の予備費を決める
  • 使った金額と困ったことを記録する

1か月後に見ること:

返納後も通院できるか
買い物が途切れないか
本人が孤立しないか
家族の送迎負担が続けられるか
タクシー代が想定内か
自治体支援を使えるか

この実験をすると、本人も家族も「車がなくなったら終わり」という不安を少し具体化できます。

関連記事: 返納後の生活

相談先の使い分け

費用比較だけで決めきれない場合は、相談先を分けます。

相談したいこと 主な相談先
運転不安、家族としての相談 安全運転相談窓口、#8080
薬、眠気、視力、もの忘れ かかりつけ医、専門医療機関
自主返納、運転経歴証明書 都道府県警察、運転免許センター
返納後の通院・買い物支援 地域包括支援センター、自治体
車を残すか手放すか 家族会議、整備工場、保険会社、必要に応じて専門窓口

警察庁の安全運転相談窓口は、高齢ドライバー本人や家族が、加齢に伴う身体機能の低下等による運転不安を相談できる窓口です。費用表を作っても、運転の不安が残る場合は、家族だけで決めず相談先を使います。

関連記事: 親の運転について警察へ相談する方法

無料体験ナビで確認できること・できないこと

当サイトの無料体験ナビは、車を残すか返納後の移動費へ回すかを話し合う前に、家族の不安を整理するための補助です。

確認できること:

  • 運転不安がどの場面で起きているか
  • 夜間、雨天、高速道路など条件別の不安
  • 返納後の生活準備を始める必要性
  • かかりつけ医や安全運転相談窓口へ相談する優先度
  • 家族会議で話す順番

確認できないこと:

  • 個別の運転可否
  • 医学的診断
  • 認知症かどうかの判定
  • 免許更新の結果
  • 車の売却価格や保険料の確定
  • タクシー代や自治体支援の最新額

費用の最終判断は、実際の領収書、見積書、自治体情報、販売店、保険会社、都道府県警察等で確認してください。

車を残すか返納後の移動費へ回すか、家族の不安を整理する

公式検査ではありません。免許更新の結果、認知症の診断、運転可否を判定するものではなく、家族で相談する優先度を整理するための体験コンテンツです。

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執筆・編集情報

  • 執筆・編集:親の運転相談室 運営者
  • 専門資格者による個別監修:なし
  • 主な確認先:警察庁、都道府県警察、厚生労働省、国土交通省、自治体等(記事内容に応じて本文内に掲載)
  • 初回公開日:2026年06月22日
  • 最終確認日:2026年6月22日

本記事は一般的な情報整理を目的としており、個別の運転可否、医学的診断、法的判断を行うものではありません。

よくある質問

Q. 車の維持費とタクシー代は、どちらが安いですか?

地域、車種、駐車場、走行距離、通院回数、家族送迎の有無で変わります。月額ではなく、税金、保険、車検、燃料、修理、駐車場を年額にし、返納後の通院、買い物、外出、予備費も年額で比べます。

Q. 親が「タクシーは高い」と言います。

その感覚は自然です。だからこそ、タクシー代だけを見せるのではなく、車の固定費も一緒に出します。車は乗らない月にも費用がかかります。一方で、返納後の移動費は、支援制度や家族送迎、宅配を組み合わせて下げられる場合があります。

Q. 車を残した方が安いなら、返納を考えなくてよいですか?

費用だけでは決められません。運転中のヒヤリハット、車の傷、夜間や雨天の不安、薬、眠気、視力、もの忘れなどがある場合は、かかりつけ医や安全運転相談窓口にも相談します。

Q. 自主返納後の支援制度はどこで探せますか?

住んでいる自治体、都道府県警察、運転免許センター、高齢運転者支援サイトなどで確認します。自治体によって、タクシー券、バス割引、買い物支援、外出支援など内容が異なるため、地域名と「免許返納 支援」で検索します。

Q. 返納後、本人確認書類はどうなりますか?

警察庁は、運転免許証を自主返納した方や更新せず失効した方が、一定の要件のもとで運転経歴証明書の交付を受けられると案内しています。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、公的な本人確認書類として利用できます。

Q. まず何から始めればよいですか?

直近1年分の車関係の領収書、保険の更新案内、車検見積書、ガソリンのレシート、通院回数、買い物回数を書き出します。そのうえで、1か月だけ車を使わない生活を試すと、返納後の費用と困りごとが具体化します。

まとめ

親の車を残すか、免許返納後の移動費へ回すかは、感情だけでは決めにくい問題です。

「タクシーは高い」も本音です。
「車も思ったよりお金がかかる」も事実です。

だから、同じ年額で比べます。

車を残す年間費用には、税金、保険、車検、燃料、駐車場、整備、修理を入れます。返納後の年間移動費には、通院、買い物、薬、外出、家族送迎、宅配、予備費を入れます。

ただし、金額だけで決めません。運転不安、健康面、家族負担、本人の外出機会、地域支援も同じ表に入れます。

費用表は、親を説得するための紙ではありません。返納後も生活を小さくしないための準備表です。

家族だけで判断しきれない場合は、安全運転相談窓口、かかりつけ医、地域包括支援センター、都道府県警察に相談しながら、車を残す場合と返納後の生活を一つずつ比較していきます。

参考情報

執筆・編集情報

この記事は、警察庁の自主返納、安全運転相談窓口、高齢運転者対策の概要、資源エネルギー庁の石油製品価格調査、国土交通省の自賠責保険・共済情報を確認し、家族向けに整理したものです。税金、保険料、車検費用、燃料価格、タクシー運賃、自治体支援は地域・時期・車種・契約により異なります。最終確認日は2026年6月22日です。

本記事は一般的な情報整理を目的としており、個別の運転可否、医学的診断、法的判断、特定サービスの利用推奨を行うものではありません。





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