免許返納の手続きが終わった直後は、家族も本人も「これで一安心」と感じやすい時期です。しかし、生活面ではここから最初の7日が大切です。車で済ませていた買い物、通院、薬の受け取り、銀行や役所への用事が、急に別の方法へ変わるからです。
特に一人暮らしの親は、食料が減っても家族へ言わない、次の受診日まで移動方法を決めない、電話予約を面倒に感じることがあります。最初の7日は生活を完成させる期間ではありません。食事、薬、受診、連絡の4つを止めないために、仮の方法を一度動かす期間です。
- 結論:7日間で確認するのは4つ
- 返納当日:本人が運転しない帰宅手段を確保する
- 1日目:冷蔵庫と薬を一緒に確認する
- 2日目:次の通院を「行き」と「帰り」に分ける
- 3日目:買い物を一度だけ実地で試す
- 4日目:本人が電話予約できるかを確認する
- 5日目:連絡が取れないときの順番を決める
- 6日目:家族送迎の範囲を言葉にする
- 7日目:できたことより「詰まったこと」を残す
- 複合ケース:準備した宅配を親が使わなかった家庭
- 地域包括支援センターへ相談する目安
- 生活圏の地図を紙に書く
- 車の中と家の中から生活用品を回収する
- 返納後すぐに必要になる本人確認書類を確認する
- 最初の週にやらなくてよいこと
- 家族が離れて暮らしている場合の7日分担
- 季節と災害時の予備を考える
- よくある質問
- 7日目に家族へ共有する一枚
- まとめ:最初の7日は生活を止めない仮運転期間
- 主な確認先
結論:7日間で確認するのは4つ
| 優先 | 確認すること | 7日後の到達点 |
|---|---|---|
| 1 | 食事と飲み物 | 次の買い物日まで不足しない |
| 2 | 薬 | 残数と次回受診・受取方法が分かる |
| 3 | 通院 | 行きと帰りの手段を一度試す |
| 4 | 連絡 | 連絡が取れないときの確認順が決まる |
自治体の支援制度探しや車の売却も重要ですが、最初の7日は生活の継続を先にします。車の処分を急いで、車内の診察券、買い物袋、歩行補助具、家族の連絡先を片付けてしまわないよう注意してください。
返納当日:本人が運転しない帰宅手段を確保する
自主返納が受理された後は、本人がその車を運転して帰る前提にできません。家族が同行する、公共交通で行く、帰りのタクシーを予約するなど、返納前に帰宅方法を決めます。
家族が親の車を運転する場合は、任意保険の運転者範囲と年齢条件を確認します。「家族なら誰でも補償される」とは限りません。車を警察署や免許センターへ置いたままにできるとも限らないため、当日の駐車条件も事前に問い合わせます。
帰宅後は、鍵を一方的に取り上げるのではなく、本人と保管場所を決めます。返納済みの本人が習慣で運転しようとする心配がある場合は、車を別の場所へ移す、家族が鍵を預かる、売却や廃車の予定日を決めるなど、実際に運転できない状態を整えます。
1日目:冷蔵庫と薬を一緒に確認する
最初に見るのは時刻表ではなく、今日から必要なものです。
食事の確認
次の7日分を細かく献立にする必要はありません。主食、たんぱく源、野菜、飲み物、すぐ食べられるものが何日分あるかを見ます。冷凍食品や配食を準備しても、電子レンジの操作や受け取り時間が本人に合わなければ続きません。
確認する項目は次のとおりです。
- 冷蔵庫と冷凍庫に何日分あるか
- 重い水や米をどう運ぶか
- 本人が注文できる店か、家族の代行が必要か
- 受取時に在宅できるか
- 現金、カード、代引きなど支払い方法を使えるか
- 食事制限や噛む力に合うか
「宅配を契約したから大丈夫」ではなく、最初の1回を一緒に注文し、受け取り、保管、温めまで試します。
薬の確認
薬は種類だけでなく、残数と次に必要になる日を見ます。お薬手帳、診察券、薬局の連絡先を一か所へまとめます。家族が薬を勝手に変更したり、中止したりしてはいけません。飲み忘れや重複が心配なときは、処方した医療機関や薬局へ相談してください。
| 薬・医療用品 | 残り | 次に必要な日 | 受け取る人・方法 |
|---|---|---|---|
| 定期薬 | |||
| 目薬・塗り薬 | |||
| 血糖測定等の用品 | |||
| 市販薬 |
2日目:次の通院を「行き」と「帰り」に分ける
通院手段を決めるとき、行きだけを確認しないでください。診察時間は延びることがあり、帰りのバスや乗合交通に間に合わない場合があります。薬局へ寄る、会計を待つ、雨が降るといった条件もあります。
次回受診日について、次の順で書き出します。
- 自宅を出る時刻
- 乗り場までの徒歩時間
- 予約が必要な場合の締切
- 病院へ着く時刻
- 診察後に帰りを予約できるか
- 薬局から自宅までの方法
- 予定が崩れた場合の予備手段
詳しい実地確認は免許返納後の通院ルートを試す方法で行えます。
3日目:買い物を一度だけ実地で試す
徒歩、バス、デマンド交通、家族送迎、宅配のうち、候補を一つ試します。距離だけで判断せず、玄関の段差、信号、坂道、荷物、暑さ、雨、帰宅後の片付けまで見ます。
本人が「歩ける」と言っていても、空の手で歩くのと、牛乳や野菜を持って戻るのは違います。家族は能力を試すような態度を取らず、「この方法なら毎週続けられそうか」を一緒に確認します。
店まで行けても、商品を持ち帰れない場合は、店頭購入と配送を組み合わせます。宅配だけに切り替えると外出機会が減る人もいるため、月に何回かは家族や友人と買い物へ行く方法も残します。
4日目:本人が電話予約できるかを確認する
予約型乗合交通やタクシーは、電話で次の情報を伝えることがあります。
- 氏名または登録番号
- 乗る場所と降りる場所
- 希望日と希望時刻
- 同行者の有無
- 車いすや歩行器の有無
- 帰りも利用するか
聴力、発話、記憶に不安がある場合は、電話の横に記入カードを置きます。本人が予約できないときは、家族による代理予約が可能か、事業者へ確認してください。電話予約が苦手な親の移動支援では、家族が代行するときの伝達項目を整理しています。
5日目:連絡が取れないときの順番を決める
見守りは、常に監視することではありません。平常時の連絡頻度と、いつもと違うときの確認順を決めることです。
たとえば、毎日電話する家族もいれば、週2回で十分な家庭もあります。本人の生活リズムと希望を尊重し、連絡が取れないだけで直ちに異常と決めつけないようにします。
| 状況 | 最初の対応 | 次の対応 |
|---|---|---|
| 約束の電話に出ない | 30分後に再連絡 | 近くの家族・知人へ確認 |
| 通院から戻らない | 病院・交通手段を確認 | 必要に応じて現地確認 |
| 食事や薬が続けて抜ける | 本人と原因を確認 | 医療機関・地域包括支援センターへ相談 |
| 行き先が分からなくなる | 安全な場所で待つ方法を共有 | 繰り返す場合は専門窓口へ相談 |
緊急性があるときは、家庭内の順番にこだわらず、消防・警察などへ連絡してください。
6日目:家族送迎の範囲を言葉にする
家族が「いつでも送る」と約束すると、数週間後に仕事や子育てと両立できなくなることがあります。最初から冷たく断る必要はありませんが、定期通院は誰が担当するか、急な買い物は宅配にするか、夜間はどうするかを決めます。
送迎の上限を決めることは、本人を見放すことではありません。継続できる支援へ組み替えるためです。詳しくは家族送迎がつらいときの回数上限と代替手段で整理してください。
7日目:できたことより「詰まったこと」を残す
7日後に全項目が終わらなくても問題ありません。重要なのは、次の3つに分けることです。
- 本人だけでできた
- 初回だけ家族の支援が必要だった
- 今の方法では続かなかった
続かなかった項目は、本人の努力不足ではありません。予約締切が早い、乗り場が遠い、帰り便がない、配送料が高いなど、方法と生活条件が合っていない可能性があります。
次の23日間は、免許返納後の30日生活移行トレーナーを使い、代替案を一つずつ試してください。
複合ケース:準備した宅配を親が使わなかった家庭
ある家庭では、離れて暮らす娘が食料品宅配を契約しましたが、父親は受け取り時刻に外へ出ており、ほとんど利用しませんでした。家族は「便利なのになぜ使わないのか」と考えましたが、本人に聞くと、週に一度、店員と話す買い物が生活の楽しみだったことが分かりました。
そこで、重い物は定期配送にし、生鮮品は月2回家族と買い物へ行き、その他は近所の小型店へ徒歩で行く形に分けました。生活課題は「食料を届けること」だけでなく、「本人が外出と交流を続けられること」も含みます。
この事例は複数の相談場面を参考に構成したもので、特定の個人の体験ではありません。家庭ごとに距離、体調、交通事情が異なるため、そのまま当てはめず確認項目としてお使いください。
地域包括支援センターへ相談する目安
厚生労働省は、地域包括支援センターを高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防などを支える地域の中核的な機関としています。次のように移動以外の課題が重なる場合は、自治体または地域包括支援センターへ相談してください。
- 食事量や体重が明らかに減った
- 薬の飲み忘れや重複が続く
- 通院を何度も中断する
- 金銭管理や支払いが難しくなった
- 道に迷うことが増えた
- 家族の送迎・見守りが続けられない
家族だけで運転可否や病気を判断せず、観察した事実と困っている生活場面を伝えます。
生活圏の地図を紙に書く
最初の7日間に、本人が車で行っていた場所を一枚の紙へ書きます。正確な地図でなくても構いません。自宅を中央に置き、病院、薬局、食料品店、銀行、役所、友人宅、趣味の場所を周りへ書きます。
それぞれに、徒歩時間、主な交通手段、予約の有無、雨の日の予備手段を書き足します。行く頻度が月1回未満の場所も忘れないでください。理容、美容院、墓参り、季節の受診、確定申告など、毎週ではない用事が後から家族送迎へ集中することがあります。
| 行き先 | 頻度 | 通常の手段 | 予約 | 予備手段 |
|---|---|---|---|---|
| かかりつけ医 | ||||
| 専門病院 | ||||
| 薬局 | ||||
| 食料品店 | ||||
| 銀行・役所 | ||||
| 交流・趣味 |
生活圏の地図は、本人の行動を制限するためではありません。車が担っていた役割を見落とさず、交通、配送、家族支援へ分けるために使います。
車の中と家の中から生活用品を回収する
高齢の親の車には、生活に必要な物が置かれている場合があります。診察券、お薬手帳、眼鏡、杖、歩行器、買い物袋、印鑑、現金、ETCカード、駐車券、家の予備鍵などです。売却や廃車の前に本人と一緒に確認します。
特に次の物は、返納後の生活場所へ移します。
- 診察券、お薬手帳、予約票
- 障害者手帳や受給者証など本人が利用する書類
- 杖、クッション、乗降補助具
- 買い物用バッグ、保冷バッグ
- 家や物置の鍵
- 車載充電器に接続した電話機器
- 有料道路、駐車場、給油等のカード
カード類には解約や返却が必要なものがあります。家族が無断で処分せず、契約名義と本人の意思を確認してください。
返納後すぐに必要になる本人確認書類を確認する
警察庁は、平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書を公的な本人確認書類として利用できると案内しています。ただし、すべての手続きで同じ書類が使えるとは限りません。銀行、携帯電話、自治体手続きなど、近く予定している用事があれば必要書類を各窓口へ確認します。
運転経歴証明書を申請する場合は、申請場所、写真、手数料、交付時期が都道府県警察により異なります。返納当日に申請できるか、後日受け取りかを確認します。マイナンバーカード、健康保険の資格確認に使う書類など、本人が保有する他の書類も整理します。
家族が書類を一括管理すると、本人が必要なときに使えない場合があります。保管場所を本人と決め、持ち出した家族が戻すルールを作ります。
最初の週にやらなくてよいこと
不安が大きいと、家族はすべてを一度に片付けようとします。しかし次の作業は、生活を止めない準備のあとでも間に合う場合があります。
- すべての交通手段を契約する
- 家中の生活用品を入れ替える
- 本人の予定を家族が全面管理する
- 趣味や交流を一律に中止する
- 車を急いで最低条件で処分する
例外は、本人が返納後も車を運転するおそれがある、駐車場所に危険がある、保険が切れているなど安全上の緊急性がある場合です。このときは鍵と車を安全に管理し、必要に応じて警察の安全運転相談などへ相談します。
家族が離れて暮らしている場合の7日分担
遠方の家族でも、現地の送迎以外にできることがあります。
| 支援 | 現地家族・知人 | 遠方家族 | 本人 |
|---|---|---|---|
| 食料 | 冷蔵庫確認 | 配送注文 | 好み・受取時間を伝える |
| 通院 | 初回同行 | 時刻・予約を調べる | 診察券と予定を準備 |
| 交通 | 乗り場確認 | 自治体制度を調べる | 電話予約を試す |
| 見守り | 必要時の現地確認 | 定期連絡 | 連絡できる時間を決める |
| 車 | 車内確認・移動 | 名義・保険を調べる | 処分方針を話す |
近くに住む家族へすべてを頼まず、調査、予約、注文、費用の担当を分けます。本人ができることを残すと、支援されるだけの生活になりにくくなります。
季節と災害時の予備を考える
最初の7日が晴天でも、夏の猛暑、冬の積雪、台風で交通が止まる日があります。少なくとも、食料と薬が数日不足しない状態、交通が運休したときの連絡先、家族が行けない場合の近隣連絡先を確認します。
自治体の避難情報や防災用品は、免許返納とは別に公式案内を確認してください。車が避難手段だった家庭は、徒歩で行ける避難先、福祉避難所の相談窓口、誰が本人へ連絡するかを市区町村へ確認します。災害時の個別支援制度は地域・要件により異なるため、家族だけで決めつけないでください。
よくある質問
7日目に家族へ共有する一枚
最初の週が終わったら、長い報告書ではなく一枚にまとめます。本人の同意を得て、関わる家族だけで共有してください。
| 項目 | 決まったこと | 次に試すこと | 担当 |
|---|---|---|---|
| 食事 | |||
| 薬 | |||
| 通院 | |||
| 買い物 | |||
| 連絡 | |||
| 車・鍵 |
一枚には、本人が困っていることだけでなく、自分でできたことも残します。「バス停まで歩けた」「注文内容を選べた」といった事実は、次の支援を必要以上に増やさない判断材料になります。
次に試すことは一度に二つまでにします。家族が多くの候補を用意しても、本人が毎日異なる操作を覚えるのは負担です。通院が迫っているなら通院、食料が不足するなら買い物を優先します。
共有先を増やしすぎないことも大切です。診断名、薬、金銭、連絡履歴などは本人の個人情報です。交通事業者や近隣の人へは、その人が支援するために必要な情報だけを伝えます。家族の安心のために本人の生活を過度に公開しないようにしてください。
7日間で大きな問題がなければ、連絡や確認の頻度を少し下げます。逆に、食事や薬が続かない、通院できない、連絡が取れない状態が重なるなら、次の30日を家族だけで試行錯誤せず、地域包括支援センターや医療機関へ相談します。
返納前に準備できなかった場合はどうしますか
まず次の7日間に必要な食事、薬、通院を確保してください。長期計画より、今日と次回受診を止めないことが優先です。
一人暮らしなら毎日電話すべきですか
一律ではありません。本人の希望、健康状態、普段の連絡頻度に合わせます。連絡がない場合の確認順を決めるほうが実用的です。
車はすぐ売るべきですか
本人が運転しない状態を確保したうえで、所有者、保険、税、家族が使う可能性を確認します。生活必需品を車内から回収してから手続きを進めてください。
自治体の支援は返納すれば自動でもらえますか
多くは別途申請が必要です。年齢、居住、申請期限、必要書類が地域ごとに異なります。地域別・返納後の移動と暮らしプランナーで公式窓口を確認してください。
まとめ:最初の7日は生活を止めない仮運転期間
免許返納後の最初の7日で、完璧な生活計画を作る必要はありません。食事、薬、通院、連絡の4つについて、仮の方法を実際に一度動かしてください。
本人だけでできたこと、初回支援が必要だったこと、続かなかったことを分ければ、次に何を変えるかが見えます。制度を調べるだけで終わらず、予約、乗車、受け取りまで試すことが、返納後の生活を安定させる第一歩です。
主な確認先
確認日:2026年7月30日
※制度、運行、申請条件は変更されることがあります。利用前に自治体、警察、交通事業者、医療機関の最新情報をご確認ください。

