高齢者講習は、条件を満たす講習を実施している都道府県であれば、住所地以外で受けられる場合があります。ただし、「全国どの教習所でも自由に受けられる」という意味ではありません。受講先が特定任意高齢者講習または運転免許取得者等教育の高齢者講習同等課程を実施しているか、住所地の公安委員会で更新に使える証明書が交付されるかを事前に確認する必要があります。
75歳以上の方は、認知機能検査や、対象者だけが受ける運転技能検査もあります。高齢者講習を県外で受けられても、認知機能検査や運転技能検査まで同じ条件で受けられるとは限りません。それぞれを分けて確認してください。
この記事では、近隣会場が満員のとき、実家のある県で受けたいとき、県境地域に住んでいるときに、本人と家族が確認する順番を整理します。
本記事は一般的な会場探しの案内です。県外受講の可否、対象講習、予約方法、料金、証明書の扱いは地域と実施機関で異なります。予約する前に、住所地と受講希望地の都道府県警察または運転免許センターへ確認してください。
先に結論:県外受講は可能な場合があるが、講習の名称を確認する
神奈川県警察は、70歳から74歳までの方が他都道府県で講習を受けたい場合について、「特定任意高齢者講習」または「運転免許取得者等教育(高齢者講習同等課程)」を実施している都道府県であれば可能と案内しています。警視庁も、都内居住者以外が受けられる特定任意高齢者講習を案内し、東京都民が他道府県で受講したい場合は受講先の免許センター等へ問い合わせるよう説明しています。
| 確認したいこと | 答え |
|---|---|
| 住所地以外で高齢者講習を受けられるか | 対応する講習・同等課程があれば可能な場合がある |
| どの教習所でもよいか | いいえ。対象課程を実施しているか確認が必要 |
| 県外で受けた証明書を更新に使えるか | 交付される書類と住所地側の取扱いを確認する |
| 75歳以上の認知機能検査も県外で受けられるか | 高齢者講習とは別に確認が必要 |
| 運転技能検査も同じか | 対象者は実施場所・証明書・予約を別に確認する |
県外受講を検討するのは、近くの予約が取れないときだけではありません。県境を越えた教習所の方が近い、長期滞在先で受けたい、家族が送迎しやすい、といった事情もあります。
まず通知書で必要な手続を分ける
県外会場を探す前に、届いた通知書の必要手続を三つに分けます。
- 高齢者講習
- 認知機能検査(75歳以上)
- 運転技能検査(75歳以上の対象者)
三つをまとめて「高齢者の検査」と呼ぶと、電話で話が食い違います。通知書にある正式名称を読み上げ、「このうち高齢者講習を県外で受けたい」「認知機能検査も同じ会場で受けられるか」と一つずつ聞きます。
運転技能検査の対象か分からない場合は、通知書に記載があるか確認し、運転技能検査の対象者と違反歴も参考にしてください。
県外受講で出てくる二つの名称
特定任意高齢者講習
70歳以上の方が受けられる講習の一つです。実施場所や対象条件は都道府県警察へ確認します。警視庁は、都内居住者以外でも受講できる講習として案内しています。
運転免許取得者等教育(高齢者講習同等課程)
公安委員会の認定を受けた教習所等が実施する、高齢者講習と同等の効果を持つ課程です。更新手続に使える終了証明書が交付されるか、予約時に確認します。
名前が似ている「高齢者向け安全運転教室」「シニアドライビングスクール」などが、法定の高齢者講習に代わるとは限りません。一般の安全講習を受けても、更新に必要な高齢者講習の受講が免除されない場合があります。
県外の会場を探す手順
1. 住所地の都道府県警察へ確認する
最初に、住所地の運転免許センターへ連絡します。聞く内容は次のとおりです。
- 高齢者講習を他都道府県で受講したい。
- どの種類の講習または同等課程なら更新に使えるか。
- 受講後に必要な証明書の正式名称は何か。
- 証明書の有効期間や提出期限はあるか。
- 75歳以上の場合、認知機能検査と運転技能検査はどこで受ける必要があるか。
2. 受講希望地の免許センターへ確認する
次に、希望する都道府県が県外居住者を受け入れているかを聞きます。
- 県外居住者が受けられる講習はあるか。
- 対応する教習所・施設はどこか。
- 予約開始日と空き状況はどうか。
- 通知書、免許証、写真、手数料など何を持参するか。
- 終了後にどの証明書が交付されるか。
3. 教習所等へ予約する
免許センターから案内された実施機関へ予約します。検索で見つけた教習所へ先に申し込むと、対象課程ではなかったという行き違いが起こり得ます。
4. 住所地の窓口へもう一度確認する
予約先、講習名、受講日、交付予定の証明書を伝え、更新申請に使えることを最終確認します。担当部署、確認日、電話で聞いた内容をメモしておきます。
電話確認シート
| 質問 | 住所地の警察 | 受講希望地の警察 | 教習所等 |
|---|---|---|---|
| 県外居住者を受け入れるか | |||
| 対象となる講習名 | |||
| 予約可能日 | |||
| 料金 | |||
| 持ち物 | |||
| 交付される証明書 | |||
| 更新時の提出先 | |||
| 担当部署・確認日 |
この表を使うと、「県外で大丈夫と言われた」という曖昧な記憶ではなく、何が大丈夫だったのかを家族間で共有できます。
75歳以上は認知機能検査を別に確認する
75歳以上の方は、高齢者講習だけ県外で受けられても、認知機能検査の会場と予約が別になる場合があります。警視庁の案内でも、認知機能検査だけを行う施設、高齢者講習や運転技能検査も行う施設が分かれています。
県外受講を考えるときは、次の三つを同じ表へ書きます。
| 手続 | 受ける都道府県 | 会場 | 日付 | 証明書・結果通知書 |
|---|---|---|---|---|
| 認知機能検査 | ||||
| 高齢者講習 | ||||
| 運転技能検査 |
高齢者講習だけを県外で早く受けても、認知機能検査が未予約のままでは更新準備は完了しません。
県境地域では距離と交通手段も比較する
県境に住んでいる方は、住所地の中心部にある免許センターより、隣県の教習所の方が近いことがあります。比較するときは地図上の距離だけでなく、本人が当日どう移動するかを確認します。
- 家族が送迎できるか。
- 公共交通で乗り換えが多すぎないか。
- 講習後、疲れた状態で本人が運転して帰らなくて済むか。
- 駐車場から受付まで歩けるか。
- 雪、雨、渋滞など季節の影響があるか。
- 予約変更時に再度長距離移動することにならないか。
「県外の方が空いている」だけで決めず、本人が安全に往復できるかを含めます。
長期滞在先で受けたい場合
介護、家族の支援、季節滞在などで住所地を離れている場合も、住民票を移しているか、免許証の住所変更が済んでいるかで確認先が変わることがあります。
住所変更を伴う場合は、単なる県外受講ではなく、免許証の記載事項変更やマイナ免許証の住所情報も関係します。講習予約だけ先に進めず、現在の住所地を管轄する公安委員会と、新しい住所地の窓口へ相談してください。
受講後の証明書をなくさない
県外で受講した後は、終了証明書など更新に使う書類を受け取ります。受け取ったら次を確認します。
- 氏名の表記が免許証と一致しているか。
- 生年月日などの記載に誤りがないか。
- 講習名が事前に確認したものと一致しているか。
- 発行日、発行機関が記載されているか。
- 更新申請時に原本が必要か。
書類をスマートフォンで撮影して家族と共有しても、原本の代わりになるとは限りません。原本は透明なファイルに入れ、免許更新の通知書とまとめて保管します。
予約が取れないときに県外だけへ絞らない
近隣会場が満員の場合、県外受講は有力な選択肢ですが、ほかにも住所地内の遠い会場、キャンセル枠、警察施設、出張講習、同等課程などがある場合があります。
高齢者講習の予約が取れないときの対処法にあるように、期限、講習区分、会場、WEB・電話の予約方法を分けて探します。県外受講の確認に数日かかる場合もあるため、住所地内の候補をすべて手放さない方が安全です。
本人への伝え方
避けたい言い方は、「近所は全部だめだから、隣の県まで行くしかない」です。本人には、家族に迷惑をかけている感覚や、知らない場所への不安が生まれます。
代わりに、「隣県の教習所も正式な講習をしているか確認できるみたい。近い方と空いている方を一緒に比べよう」と伝えます。本人の希望、移動負担、家族の送迎可能日を並べて決めましょう。
県外受講を選ぶ前に三つのケースを分ける
「県外で受けたい」といっても、理由によって確認先と注意点が変わります。
県境に住み、隣県の会場の方が近い
距離だけで決めず、隣県の会場が高齢者講習または同等課程として受け入れるか、住所地の更新手続で証明書を使えるかを両方へ確認します。会場までの所要時間は短くても、更新申請は住所地側で行うことがあるため、二回の移動を合わせて比較してください。
子の家へ長期滞在している
滞在先で受講できる場合でも、通知書や更新関係の郵便物は住所地へ届いていることがあります。本人の免許証記載情報、通知書の原本、受講後の証明書を誰が管理するかを先に決めます。家族が通知書の写真だけを持って電話すると、確認に必要な番号が読めないことがあるため、原本を見ながら問い合わせます。
住所地の予約が埋まっている
最初から遠方だけを探すのではなく、同じ都道府県内の警察施設、教習所、キャンセル枠、高齢者講習同等課程の順に広げます。期限が迫っている場合は、空き状況を家族だけで判断せず、住所地の免許担当窓口へ期限と未完了の手続を伝えてください。
受講決定から更新申請までの記録
県外で受けると、受講会場と更新窓口が別になりやすいため、電話の回答を一枚に残します。問い合わせ日、担当窓口名、受講できる講習の正式名称、予約番号、必要な持ち物、交付される証明書の名称、住所地での提出先を記録してください。
受講後は証明書を写真に残し、原本は更新通知書と一緒に保管します。ただし、写真やコピーで更新申請ができるという意味ではありません。原本が必要かどうか、提出後に返却されるかどうかも住所地の案内で確認します。家族が付き添えない場合は、本人が窓口で見せる書類を透明な袋にまとめ、袋の表に「講習」「更新申請」など用途を書いておくと取り違えを防げます。
証明書の氏名、生年月日、受講日、講習の名称に誤りがないかは、会場を離れる前に本人と家族で確認します。住所地の窓口から追加の確認を求められた場合に備え、受講会場の名称と電話番号も更新が終わるまで残してください。
更新申請が終わったら、講習証明書や領収書をいつまで保管するかも家族で決めます。少なくとも新しい免許証を受け取り、記載内容を確認するまでは、予約時のメモと一緒に残しておくと照会しやすくなります。
電話で「受けられます」と言われた後に確認すること
電話で空き枠が見つかると、家族は予約日時だけを急いで決めがちです。しかし、県外受講では「その会場に入れる」ことと「住所地で更新に使える講習を修了できる」ことを分けて確認する必要があります。
受講希望地の窓口には、次の順で尋ねます。
- 住所地が別の都道府県でも受け入れ対象になるか
- 実施する講習の正式名称は何か
- 本人の年齢・免許区分・通知書の内容に対応するか
- 受講後に交付される証明書の正式名称は何か
- 当日の持ち物、料金、支払方法は何か
- 予約変更時の連絡先はどこか
次に住所地の窓口へ、受講先、講習名、証明書名を伝え、更新申請で使えるかを確認します。「隣県の高齢者講習です」のような省略した説明では、講習同等課程との区別がつかないことがあります。電話の回答は、問い合わせ日と窓口名を添えて記録します。
県外受講をいったん止めて再確認する場面
会場ごとに説明が異なる、証明書名が分からない、本人の対象区分を確認できない、更新期限までに証明書が用意できるか不明な場合は、その場で支払いを急ぎません。住所地の公安委員会が案内する窓口へ戻り、手続の組み合わせを整理します。
また、75歳以上の本人については、認知機能検査、高齢者講習、一定の違反歴がある場合の運転技能検査を一つの「高齢者講習」と呼ばないようにします。県外で受けられる範囲が手続ごとに異なる可能性があるためです。
県外での受講が難しくても、更新を諦めるという意味ではありません。住所地内の別会場、警察施設、教習所等、キャンセル枠を改めて探し、期限が近いときは公式窓口へ残り日数を伝えます。遠方の一枠だけに頼らないことが、結果として更新までの不確実性を減らします。
付き添う家族が県外の会場まで運転する場合は、本人の受講時間だけでなく往復の休憩、渋滞、駐車場から受付までの移動も予定に入れます。公共交通を使う場合は、帰りの便が少ない地域もあるため、終了予定時刻より遅れた場合の経路も確認します。
本人だけで受講するなら、会場名、住所、予約時刻、連絡先、帰宅経路を紙で渡します。スマートフォンだけに保存すると、電池切れや操作の迷いで確認できないことがあります。遠方へ行けるかどうかを本人の運転能力の評価に使わず、手続の移動支援として考えてください。
よくある質問
県外の教習所へ直接電話すれば予約できますか?
先に住所地と受講希望地の免許センターへ、対象となる講習または同等課程を確認するのが安全です。一般の安全運転講習では更新に使えない場合があります。
県外で受けると料金が高くなりますか?
料金は実施機関ごとに異なる場合があります。県外だから一律に高い・安いとは言えません。講習料金、交通費、宿泊費、送迎負担を合わせて比較します。
認知機能検査も県外で受けられますか?
受けられる場合がありますが、高齢者講習と同じ扱いとは限りません。住所地と希望地の都道府県警察へ、認定認知機能検査を含めて確認してください。
県外で受けた後、更新申請もその県でできますか?
講習を県外で受けることと、免許更新申請を県外で行うことは別の制度です。更新申請場所は住所地、経由更新の対象条件などを確認してください。
家族の住む県で受けてもよいですか?
受講先が県外居住者を受け入れ、更新に使える講習を実施していれば可能な場合があります。家族の住所だけでは決まらないため、両方の都道府県警察へ確認します。
住民票を移していなくても受けられますか?
住民票を移していないことだけで、住所地以外での受講可否が決まるわけではありません。本人の免許証に記載された住所、通知書の内容、滞在先、受けたい講習の正式名称を住所地と受講希望地の窓口へ伝え、県外居住者として受け入れられるか確認してください。住所変更を予定している場合は、講習予約とは別に免許証の記載事項変更の手続も確認します。
予約の問い合わせを家族が代わりにしてもよいですか?
家族が空き状況や必要書類を問い合わせられる場合はありますが、予約を本人以外から受け付けるかは会場によって異なります。本人の氏名、生年月日、免許証番号、通知書に記載された講習区分を手元に用意し、電話の最初に「家族が本人に代わって確認している」と伝えてください。本人確認や本人の同意が必要と言われた場合は、その案内に従います。
まとめ
高齢者講習は、特定任意高齢者講習や高齢者講習同等課程を実施する地域であれば、住所地以外で受けられる場合があります。ただし、どの教習所でもよいわけではなく、75歳以上の認知機能検査と運転技能検査は別に確認が必要です。
住所地の警察、受講希望地の警察、実施機関の順に、講習名、予約、料金、持ち物、証明書を確認してください。県外受講は予約先を広げる方法ですが、本人の移動負担と更新期限も一緒に比べることが大切です。
参考情報
- 神奈川県警察「70歳から74歳までの方の運転免許更新手続」
- 千葉県警察「高齢者講習」
- 警視庁「高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)」
- 警視庁「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)」
最終確認日:2026年7月17日
執筆・編集:親の運転相談室編集部

